マッシュ寄席伝 〜マッシュの入場〜




時は西暦2016年。

平成は二十八年の晩秋、十一月の六日の出来事でございます。


めがねをかけた冴えない一人の男が席亭となり、

落語会を開くという物語。

「マッシュ」の名乗るこの男。


歳の頃なら三十五、六。

中肉中背を絵に書いたような優男でございます。 

なぜこの男が落語会を開くことになったのか。

詳しくはこちら

ご覧いただくことといたしまして、

本日は、その当日の模様をお聞き頂きたいという次第であります。


所は上野広小路。

落語協会の二階を借りて落語会を開こうという。

男は、落語会はもちろん、

人を集めて会を催す経験も皆無でありましたから、

不安で仕方がありません。


ツイッターでお客さんを集めてみたものの。


みんな、来るだろうか。

遅刻は、しないだろうか。

進行は、うまくいくのだろうか。



さまざまな不安がよぎる中、

一番の心配事は『席亭のあいさつ』でございました。


この男、子供の頃から引っ込み思案の性分で、

人前に出ることが大の苦手。

すでにいい歳、大の大人にも関わらず、

人前で話しをした経験がございません。

勇気の無さも手伝って、

そういった機会から逃げてきたのでございましょう。


思い出すのは小学校4年生の頃。

冗談半分で学級委員に推薦されてしまったその男は、

涙を流して「ぼぐはやりだぐない」とぐずって必死に訴えてまで

その推薦を取り下げたこともあったとかなかったとか。


そんなノミの心臓の持ち主、小心者の男が一念発起。

自分が主催する落語会。

客席のほとんどが知り合いの方ならば、

簡単なあいさつぐらいできるかもしれない。

スピーチの練習と思ってやってみよう。


なぜか珍しく前向きに考えて、

誰が頼んだわけでもない中、

「落語の前に、席亭あいさつをします」

と事前に告知をしたのでございます。


この男、文章を書くのは嫌いではなく、話す内容はすぐに決定。

あとはしっかり覚えて話すだけ。

とにかく稽古しかないと思い、

風呂場や姿見の前で何度も何度も

考えたあいさつ文を

繰り返しブツブツつぶやいて覚えたのでございます。


ところが、いくら口に出しても不安は消えることがなく。



お客さんの反応がなかったらどうしよう

頭が真っ白になって絶句したらどうしよう

グダグダのあいさつになったらどうしよう


落語会前日になった段階でも、

席亭あいさつなんかやめてしまうおうか、と

悩みに悩んだほどでございました。


自分で勝手にやろうと言い出しただけ。

あいさつなんて、やらなくても誰も文句はないだろう。

何より、主役は噺家さんだ。

みなさんは落語を聞きに来るのだから。


しかし、ここで逃げたら一生できない、と、再び前を向き直し、

さらに稽古を重ね、いよいよ迎えた落語会、

名付けて『マッシュ寄席』(パパン!)


当日、はっぴ姿で出迎えてくれ、

落語会の準備から片付けまでをサポートしてくださったのは、

三遊亭金八師匠。


後日わかったことでございますが、金八師匠は黒門亭委員で、

たまたまその日当番だったために、

お手伝いをしてくださったとのこと。


会の進行についての助言や、

制作した『マッシュ寄席』のチラシを

会場内外に貼ってくださったのでありました。


しかし、このチラシを見た金八師匠から

衝撃の一言が。



これ、出演者さぁ・・・







「かな文(ぶん)」って書いてあるけど、




今日、門朗(もんろう)だよ?










えっ







出演者の希望。

前座、二つ目、真打を一人ずつ。


前座さんは

「『橘家かな文』さんか、『橘家門朗さん』を希望」

とメールで伝えてありました。


そして返信が来た出演者決定の内容には

まちがいなく「かな文」と記載があり。


その後、出演者が変更になったという話は出ておりません。


お二人とも三代目橘家文蔵師匠のお弟子さんであり、

もちろん、門朗さんでもなんの文句もなく、

大変嬉しいのでございますが、

問題は、

席亭あいさつで出演者を紹介をする予定があったことでございます。


もともとしゃべりが大の苦手な男に、

果たして急な変更点をうまく修正できるのだろうか。


門朗だけに、

とんだププッピドゥなハプニング発生となってしまいました。



いよいよ開演まで30分を切り、

徐々に会場内のお客さんが増えてまいりました。

ざわざわ、と、ざわつく場内。

自分を除いて、客席には28名が来場予定。

言葉にすると少人数に思えましたが、

所狭しとそれぐらいの人数が集まると、

それなりの威圧感、大人数に感じられてくるのでございます。


次第に緊張が高まってくる中、

慌ただしく受付を行っている背後から、

金八師匠の声が聞こえてまいりました。


振り返って前方を見ると、金八師匠が高座の横に立ち、

勝手に落語会の注意事項を説明しているではありませんか。



携帯電話の電源をお切りください

公演中の撮影録音はお控えください



これが、第二の誤算。


言わずもがな、注意事項の説明

繰り返し稽古したあいさつの文面に

盛り込まれてあったからでございます。





それなんで言っちゃうんだよ・・・


金八・・・









このバカチンがぁぁぁぁぁーーーーーーー








心の中でこう叫んでも後の祭り。

まさに、暮れなずむ街の光と影の中状態。

愛するあなたへ贈る言葉もございません。


精神が乱れる中で、バタバタと受付をこなし、

時は刻一刻と迫ってくるのであります。


お客さんがあと二人で満席、というところで、

ついに。

ついに時は来た。


時計の針は午後六時を回った。


金八先生から声がかかり、

前へ来るように呼ばれたのであります。

つかつかつかっと前へ出る席亭、マッシュ。


・出演者の変更

・注意事項の説明のカット




あいさつで、この二点の修正が効くのか。

そもそも、人前できちんと話ができるのか。

その後、落語会は一体どうなるのか。




物語はここから面白くなってくるところでございますが、



なんとなんとぉぉーーーーー!!






(パパン!)


















文字数がいっぱいいっぱいッ!!





この続きはまたいつの日か申し上げることといたしまして、

本日は、『マッシュ寄席伝』のうち、

『マッシュの入場』の一席で

お後と交代でございます。


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      • 2017.09.17 Sunday
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      • 06:44
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      コメント
      さすが読ませる文章!
      松之丞さんの声で脳内再生されました!
      • たけへ
      • 2016/11/18 9:11 PM
      たけへさん

      おお、さすが、今一番このブログを評価している男!(笑)
      ありがとうございます。
      • マッシュ
      • 2016/11/19 8:56 AM
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