タワレコ亭、サイン会での一件




7月11日に行われたタワーレコード渋谷店での『タワレコ亭』

講談師、神田松之丞(まつのじょう)さんの初CD発売を記念したイベントである。

前売りチケットは当然のように完売。


ここのところ、メディアへの露出が増えたものの、まだまだ世間一般での認知度は高くはない。

けれど、演芸ファンなら知らない人はまずいない。

今、飛ぶ鳥を落とす勢いの松之丞という講談師を。


僕は2015年の渋谷らくごでその高座を目の当たりにして一発でハマってしまったクチだ。

『ルパン三世カリオストロの城』のクラリス並みに心を持っていかれた。

以来、定期的に松之丞さんの会に足を運ぶようになり、今日に至る。


そんな中、待望の初CDリリース。

CD発売を記念しての寄席、タワレコ亭。おまけにサイン会ありでゲストは売れっ子漫才師ナイツ。



「松之丞を追え! 地の果てまで追うんだ!」と銭形のとっつぁんも脳裏をよぎった。

これは行かない手はない。

すぐさま前売りチケットを購入し、まだかまだかと心待ちにしていた会だった。


タワレコ渋谷店の地下1Fのイベントスペースは超満員。

19時、定刻通りに会は始まった。


まずは松之丞さんの新作講談『桑原さん』

続けてゲストのナイツの漫才

仲入りを挟んで

松之丞&ナイツのトーク

そして最後に松之丞さんの古典、慶安太平記『鉄誠道人(てっせいどうじん)』


講談二席はどちらも大好きな噺。

ナイツの漫才、松之丞さんを絡めてのトークも楽しく、期待を上回る満足感だった。


終演後にはCD購入者限定のサイン会。

実は書いてもらいたい文言があった。タワレコ亭だからこその文言を。

いよいよそれを書いてもらえる、と心躍る気持ちを抑え、サイン会の行列に並ぶ。


行列も前方にあと5人まで迫ると、松之丞さんとお客さんの話している内容が少し聞こえてくる。


「どこで知っていただいたんですか?」


とお客さん一人ひとりに聞いている松之丞さん。

ある人はラジオ、またある人は渋谷らくご、またある人は寄席と答えている。


僕は、「2015年1月の渋谷らくごです」としっかり受け答えできるよう頭の中で唱え、いざ自分の番がきた。

「よ、よろしくお願いします」


すると松之丞さん、「どこで知っていただいたんですか?」

と僕には聞かず、こう言った。




















「……マッシュさんですよね?」














ええええええええええええええええ
??!









バッ











バレてるゥゥゥッゥぅうぅぅうぅぅぅぅうぅ












いや、「バレてる」は適切ではない。

正確には「覚えてくれていた」だ。




それは昨年、2016年の芸協らくごまつりでのことである。

松之丞さんにサインをお願いした時のこと。

「松之丞さんのツイッターも楽しくて、よく見てます」

と伝えたところ、アカウント名を聞かれたので伝えると、

ああ、マッシュさんですか、分かります、と答えた松之丞さん。


思い起こせば2015年1月の渋谷らくごでの高座に衝撃を受けた僕は

松之丞さんのツイッターアカウントをすぐにフォローして、

「とても楽しい一席でした! 最高でした!」と興奮をそのままぶつけるような感想を送ったのだった。

すると丁寧な返信がきて感激したのを覚えている。


また、松之丞さんの姉弟子である神田鯉栄さんの真打披露興行のチケットをツイッターを通じで1枚購入したい旨を伝え、池袋演芸場の前で手売りしてもらったこともあった。

(今考えると、池袋の路上で男二人が言葉少なに現金のやりとりをしていたので警官が通ったら職務質問されかねない状況だったと思う)


こういった背景はあるものの、思いがけない一言に鳩が豆鉄砲食ったかのごとく動揺した僕だったが、ここで怯んではいけない、と、書いてもらいたい文言をお願いした。


それがこちらである。









言うまでもなく、タワーレコードのキャッチコピーである『No music, No life』のパロディだ。


「ノーコウダン、ノーライフ」って書いて欲しいんですけど、、とリクエストすると、

松之丞さんは「ふふっ」と笑ったあと、嫌な顔一つせず丁寧に書いてくれた。


いろいろ話しもしたかった。

上野広小路亭で小銭じゃりじゃりジジイが出現した日、僕客席にいたんですよ、とか。

『問わず語りの松之丞』(ラジオ)で一度メール読んでもらって嬉しかったです、とか。

しかし、本人を前にして緊張もあり、また、サイン会の行列はまだまだうしろまで続いている状況もあるため、手短に済ませなければならない。


「あのぅ……。慶安太平記、すごく好きなので今日は嬉しかったです」


とだけ伝えると「そうですか。ありがとうございます」と応えてくれて僕はその場を後にした。


まさか自分の顔と名前を覚えてくれているとは思わず、驚き、嬉しくもあり、なんだか恥ずかしくもあったが、
兎にも角にもミッションは遂行できた。


帰宅後、改めてCDを取り出すと、重大な事実に気がついた。



こ、これ、松之丞さん……

















サイン入ってねーーーーーーじゃん!!







そうなのだ。

「神田松之丞」
とサインがなければ誰が書いたか分かりゃしない。

なんなら自分で書いて自作自演したと疑われても仕方なし、証明する術もない。


だが、しかし。

本来サインとは、直接本人に対面して書いてもらったという事実、思い出が嬉しいのであって、
他人に見せびらかして自慢するためのものではない。


だから、これが本当に神田松之丞さんが書いたものなのかどうかは、
自分さえ分かっていればいいのだ。

たとえ松之丞さんが忘れても、僕は一生忘れない。

このCDを見ればいつでもこの日のことを思い出せる。

それでいいんだと思う。
















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    こんな僕にも彼女がいます

    こんな僕にも彼女がいます。

    この前、彼女から


    「あのさ、次の日曜日、うちに誰もいないの。

     遊びに来ない?」



    と誘われました。

    嬉しかったです。


    彼女のうちへ行きました。


    (ピンポーン)


    ……?


    (ピンポンピンポーン)


    ……




















    本当に誰も居ませんでした。








    明るく陽気にいきましょう♪

    by ぴろき
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      鶏とかけまして

      僭越ながら、わたくしの投稿したなぞかけが、
      東京かわら版2月号に掲載されました。




      東京かわら版は毎年1月号に『新春お楽しみ演芸クイズ』があり、
      その中のおまけ問題になぞかけがあります。

      東京かわら版を買い始めて二度目の1月号。

      前年は残念ながら不採用だったので、
      見事リベンジを達成することができました。

      今年、2017年のお題は『鶏(または酉)』


      整いました。

      今年は完全に整いました。


      それでは、採用された渾身の超名作なぞかけをご覧下さい。




      とかけまして









      中学生男子がファーストキスをするところ


      ととく










      その心は・・・
















      口がとんがってます











      (どん!)







      来年もまた採用されるよう、日々精進して参ります。




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        マッシュ寄席伝 〜奇跡の寄席〜

        ▪前回のブログ
        マッシュ寄席伝 〜マッシュの入場〜


        皆の前に立つと、不思議と緊張感もなく、

        ほぼ、考えた通りのあいさつができた。

        さっきまであれほどそわそわ、ドキドキしていたのが嘘のように。


        あいさつの様子を撮影してもらい、後で見返してみたが、

        細かいセリフが飛んでいたり、

        「えー」とか「あー」とか、やや気になるところがあったものの、

        途中で絶句することもなく、

        大きく噛むところもなく、

        自分なりのはっきりとした声であいさつができた。


        何より、ウケた。

        こんなにウケるとは思っていなかった。

        拍手喝采の中、自分の席に戻る。

        しばらくは胸の高鳴りが収まらなかったぐらいだ。


        そして、いよいよ、落語である。

        まずは、橘家門朗(たちばなや もんろう)さんが上がった。

        ネタは『元犬』

        正直言って、前半はまだ席亭あいさつの高揚感で落語が頭に入って来なかった。

        が、前座さんとは思えぬ、しっかりした一席。

        犬から人間になった「シロ」がチンチンをやるシーンがあるが、

        三度もチンチンをする『元犬』を初めて聴いた。楽しい。


        続いて、二つ目、入船亭小辰(いりふねてい こたつ)さん。


        「今日呼んでくれたマッシュさんは、

         『シブラク』で私のことを知ってくれたらしいですね」



        と、マクラで僕のことに触れてくれた。

        実は会場準備をサポートしてくれた三遊亭金八師匠が、

        「なぜ、この三人を選んだのか?」と事前に質問してくれていた。

        噺家もきっと「なぜ自分なんだろう」と思い、

        呼ばれた理由を知りたがっているだろうから、と。

        「シブラク(渋谷らくご)がきっかけで好きになったんです」

        その話を出演者に伝えてくれていたのだ。

        ナイス金八、である。


        小辰さんは、こう続けた。


        「『シブラク』は渋谷のユーロスペースという場所でやってますが、

         あの辺り、やたらラブホテルが周りに多いんですよね。


         ……きっと、行ってるんでしょうね、マッシュさんは」



        まさかのこのイジリ。

        いや、うれしいけど。恥ずかしくて思わず下を向いてしまった。

        ネタは『転宅』だった。

        大好きな噺。

        小辰さんの演る泥棒の間抜けさ、

        泥棒に入られた奥さんの肝の据わった感じ、

        楽し過ぎる。


        そして、いよいよ真打ち登場、

        隅田川馬石(すみだがわ ばせき)師匠。


        実は、馬石師匠が何をやってくれるのか、期待と不安が半々だった。

        たとえクイズで優勝したかも知れないが、少人数のお客さんの前で、

        別に大ネタをやる義務はない。

        何をやるのかは自由だ。

        トリだからって、軽いネタをさっとやって終わるかもしれない。


        この日、馬席師匠はこの後、浅草演芸ホールで夜席トリが入っていた。

        はるかにそっちの方が大事な仕事だ。


        ドキドキしながらマクラを聞く。

        道具屋の話しをふった。

        そして、注目のネタは、何と何と『火焔太鼓』

        大ネタ中の大ネタである。

        トリとして、大ネタをかけてくれた。

        それだけでも嬉しかったが、もう熱演も熱演。

        場内は爆笑に包まれ、馬石師匠もそれに応えるかのように、

        ノリノリで演ってくれた。


        「半鐘はいけないよ、オジャンになるから」


        サゲを言い終えると同時に大きな拍手。

        最高だった。


        元犬

        転宅

        火焔太鼓


        この三席は一生忘れない。


        終演後には皆で記念撮影。

        噺家三名で。

        希望者全員で。

        噺家三名と僕を含めた4ショットで。

        記念撮影タイムもたっぷり。

        嬉しい想定外。


        さらに、打ち上げ。

        予定より多く参加してくれ、楽しくおしゃべりができた。

        席亭あいさつから落語、そして打ち上げまで。

        とにかく全てが楽しく、全てがうまくいった。怖いぐらいに。


        奇跡だ。

        奇跡としか言いようがない。

        熱い鼓動で涙が止まらない。


        I’m listening to the RAKUGO,

        All by my self.

        壊れゆく No,no,no,brother.

        奇跡の寄席〜〜〜



        こうして幕を閉じた、マッシュ寄席。

        9月4日の謝楽祭、黒門亭クイズ王で優勝したその日から、

        日程、出演者を決め、

        お客さんを集め、

        専用のツイッターアカウントを作り、

        チラシを作り、

        席亭あいさつを練習した。

        さまざまな準備が報われた。



        マッシュ寄席が開催された11月6日を持ちまして、

        わたくしは席亭を卒業いたしましたが……










        我がマッシュ寄席は永久に不滅です!



        ご来場いただいた方々、

        出演者のお三方、

        関係者の方々、

        本当にありがとうございました。







        【おまけ】
        席亭あいさつ(音声のみ)






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          マッシュ寄席伝 〜マッシュの入場〜




          時は西暦2016年。

          平成は二十八年の晩秋、十一月の六日の出来事でございます。


          めがねをかけた冴えない一人の男が席亭となり、

          落語会を開くという物語。

          「マッシュ」の名乗るこの男。


          歳の頃なら三十五、六。

          中肉中背を絵に書いたような優男でございます。 

          なぜこの男が落語会を開くことになったのか。

          詳しくはこちら

          ご覧いただくことといたしまして、

          本日は、その当日の模様をお聞き頂きたいという次第であります。


          所は上野広小路。

          落語協会の二階を借りて落語会を開こうという。

          男は、落語会はもちろん、

          人を集めて会を催す経験も皆無でありましたから、

          不安で仕方がありません。


          ツイッターでお客さんを集めてみたものの。


          みんな、来るだろうか。

          遅刻は、しないだろうか。

          進行は、うまくいくのだろうか。



          さまざまな不安がよぎる中、

          一番の心配事は『席亭のあいさつ』でございました。


          この男、子供の頃から引っ込み思案の性分で、

          人前に出ることが大の苦手。

          すでにいい歳、大の大人にも関わらず、

          人前で話しをした経験がございません。

          勇気の無さも手伝って、

          そういった機会から逃げてきたのでございましょう。


          思い出すのは小学校4年生の頃。

          冗談半分で学級委員に推薦されてしまったその男は、

          涙を流して「ぼぐはやりだぐない」とぐずって必死に訴えてまで

          その推薦を取り下げたこともあったとかなかったとか。


          そんなノミの心臓の持ち主、小心者の男が一念発起。

          自分が主催する落語会。

          客席のほとんどが知り合いの方ならば、

          簡単なあいさつぐらいできるかもしれない。

          スピーチの練習と思ってやってみよう。


          なぜか珍しく前向きに考えて、

          誰が頼んだわけでもない中、

          「落語の前に、席亭あいさつをします」

          と事前に告知をしたのでございます。


          この男、文章を書くのは嫌いではなく、話す内容はすぐに決定。

          あとはしっかり覚えて話すだけ。

          とにかく稽古しかないと思い、

          風呂場や姿見の前で何度も何度も

          考えたあいさつ文を

          繰り返しブツブツつぶやいて覚えたのでございます。


          ところが、いくら口に出しても不安は消えることがなく。



          お客さんの反応がなかったらどうしよう

          頭が真っ白になって絶句したらどうしよう

          グダグダのあいさつになったらどうしよう


          落語会前日になった段階でも、

          席亭あいさつなんかやめてしまうおうか、と

          悩みに悩んだほどでございました。


          自分で勝手にやろうと言い出しただけ。

          あいさつなんて、やらなくても誰も文句はないだろう。

          何より、主役は噺家さんだ。

          みなさんは落語を聞きに来るのだから。


          しかし、ここで逃げたら一生できない、と、再び前を向き直し、

          さらに稽古を重ね、いよいよ迎えた落語会、

          名付けて『マッシュ寄席』(パパン!)


          当日、はっぴ姿で出迎えてくれ、

          落語会の準備から片付けまでをサポートしてくださったのは、

          三遊亭金八師匠。


          後日わかったことでございますが、金八師匠は黒門亭委員で、

          たまたまその日当番だったために、

          お手伝いをしてくださったとのこと。


          会の進行についての助言や、

          制作した『マッシュ寄席』のチラシを

          会場内外に貼ってくださったのでありました。


          しかし、このチラシを見た金八師匠から

          衝撃の一言が。



          これ、出演者さぁ・・・







          「かな文(ぶん)」って書いてあるけど、




          今日、門朗(もんろう)だよ?










          えっ







          出演者の希望。

          前座、二つ目、真打を一人ずつ。


          前座さんは

          「『橘家かな文』さんか、『橘家門朗さん』を希望」

          とメールで伝えてありました。


          そして返信が来た出演者決定の内容には

          まちがいなく「かな文」と記載があり。


          その後、出演者が変更になったという話は出ておりません。


          お二人とも三代目橘家文蔵師匠のお弟子さんであり、

          もちろん、門朗さんでもなんの文句もなく、

          大変嬉しいのでございますが、

          問題は、

          席亭あいさつで出演者を紹介をする予定があったことでございます。


          もともとしゃべりが大の苦手な男に、

          果たして急な変更点をうまく修正できるのだろうか。


          門朗だけに、

          とんだププッピドゥなハプニング発生となってしまいました。



          いよいよ開演まで30分を切り、

          徐々に会場内のお客さんが増えてまいりました。

          ざわざわ、と、ざわつく場内。

          自分を除いて、客席には28名が来場予定。

          言葉にすると少人数に思えましたが、

          所狭しとそれぐらいの人数が集まると、

          それなりの威圧感、大人数に感じられてくるのでございます。


          次第に緊張が高まってくる中、

          慌ただしく受付を行っている背後から、

          金八師匠の声が聞こえてまいりました。


          振り返って前方を見ると、金八師匠が高座の横に立ち、

          勝手に落語会の注意事項を説明しているではありませんか。



          携帯電話の電源をお切りください

          公演中の撮影録音はお控えください



          これが、第二の誤算。


          言わずもがな、注意事項の説明

          繰り返し稽古したあいさつの文面に

          盛り込まれてあったからでございます。





          それなんで言っちゃうんだよ・・・


          金八・・・









          このバカチンがぁぁぁぁぁーーーーーーー








          心の中でこう叫んでも後の祭り。

          まさに、暮れなずむ街の光と影の中状態。

          愛するあなたへ贈る言葉もございません。


          精神が乱れる中で、バタバタと受付をこなし、

          時は刻一刻と迫ってくるのであります。


          お客さんがあと二人で満席、というところで、

          ついに。

          ついに時は来た。


          時計の針は午後六時を回った。


          金八先生から声がかかり、

          前へ来るように呼ばれたのであります。

          つかつかつかっと前へ出る席亭、マッシュ。


          ・出演者の変更

          ・注意事項の説明のカット




          あいさつで、この二点の修正が効くのか。

          そもそも、人前できちんと話ができるのか。

          その後、落語会は一体どうなるのか。




          物語はここから面白くなってくるところでございますが、



          なんとなんとぉぉーーーーー!!






          (パパン!)


















          文字数がいっぱいいっぱいッ!!





          この続きはまたいつの日か申し上げることといたしまして、

          本日は、『マッシュ寄席伝』のうち、

          『マッシュの入場』の一席で

          お後と交代でございます。


          0

            2016年 謝楽祭 〜黒門亭クイズ王への道〜

            2016年9月4日 日曜日。

            今年もこの日がやってきた。

            落語協会ファン感謝デー、「謝楽祭」である。





            落語協会に所属する落語家をはじめとする漫才師や色物の先生方が出店し、寄席をやり、ステージで歌う。

            イベント盛りだくさん、年に一度のお祭り。

            演芸ファンにはたまらない、夢のような一日である。


            そんな謝楽祭の数あるイベントの一つに「黒門亭クイズ王」があった。

            参加費は100円。

            落語問題の筆記試験で合格すると15:00からの本選に出場できる。

            優勝者には黒門亭(落語会)を好きな場所で開催できる「席亭権」が与えられる。


            落語を聴き始めて一年と少々の僕は、どんな問題が出るのだろうと興味本位で参加することにした。

            筆記試験は、案外簡単だった。

            都内の寄席定席の正式名称だったり、落語ネタの穴埋め問題だったり。

            100点満点中96点。

            余裕の予選通過を果たしたが、周りで解答していた方々、見る限りでは全員予選通過している様子だった。


            勝負は本選。


            定刻が近づき、特設会場裏に決勝進出者が集う。

            「俺は落語を聴いて40年だぜ」と言わんばかりの猛者どもがうじゃうじゃいる。


            時間になり、ぞろぞろと舞台に上がる。

            僕は後ろの方だったので、この人数が舞台に上りきれるのか? と心配になったが、なんとか上がれた。

            狭い特設ステージに所狭しと上がった決勝進出者たち。

            50人ほどだろうか。

            「あ、今日は割とすいてて余裕あるな」と感じる通勤電車ぐらいの人口密度。


            いよいよ、 決勝の◯×クイズが始まる。

            司会者が読み上げる問題に耳を傾ける。



            「第1問。

             落語協会会長、柳亭市馬師匠にまつわる問題です。

              市馬師匠の・・・








            通っている床屋の値段は、

            2600円である。



            ◯か、×か!













            この第1問を聞いた決勝進出者、

            いや、見物人も含め、会場にいた全員の心の声……













            (知らねえよっ!!!!!!)








            ◯なら舞台上手へ。×なら下手へ。


            混み合っている都合上、あまり人の動きはない。

            そりゃそうだ、答えがわからないなら運に身をまかせるしかない。

            おそらくこの問題、正解を知っているのは、市馬師匠本人と、司会者と、床屋のオヤジ。

            世界に3人だけだ。


            僕も今立っている位置が◯側だったので、そのまま動かずにいた。




            「正解は・・・ ◯」


            第1問は見事正解した。


            この後出題された問題は以下の通りである。


            「市馬師匠の靴のサイズは27僂任△襦◯か×か!」


            「市馬師匠の本名は、”うどう やすゆき” である。◯か×か!」


            「彦いち師匠の飼っている亀の名前は、”あたぼう” である。◯か×か!」





            もう「知らねえよ!」の連発。


            しかし、これが僕にとって幸運だった。

            なぜならば、中途半端に落語の知識が必要な問題であれば、百戦錬磨の落語ファンにかなうわけがない。

            こちとらまだ落語を聴き始めたばかり、よちよち歩きのヒヨッ子なのだ。


            誰もわからない問題ならば勝負は運のみ。

            あれよあれよと正解し、最後の二人に残ってしまった。


            最後の問題。


            「彦いち師匠の飼っている亀の名前は、”あたぼう” である。◯か×か!」


            「知らねえよ!」と叫びたい気持ちをぐっとこらえる。

            相手のおっちゃんも当然わからないようだ。

            僕は×側に立っていた。

            おっちゃんが「どっちにする? 俺は反対に行くよ」と話しかけてきた。

            なんとも気前のいいおっちゃんである。

            選択権は僕に与えられた。

            こういう時は動くとかえって失敗する、と経験則的に思ったものの、


            「じゃあ、僕は◯に行きます」


            とあえて立ち位置を入れ替わった。

            これが吉と出るか、凶と出るか。



            正解は・・・

























            なんとなんと、見事優勝してしまった。


            舞台上で柳家小ゑん師匠から優勝者インタビューを受ける。


            「おめでとう。名前は?」

            「マッシュです」

            「マッシュ? 日本人?笑」

            「日本人です」


            「好きな噺家は誰?」


            この質問に少し考えてしまった。

            頭によぎったのは、昔昔亭A太郎さんの名前だった。

            しかし、A太郎さんは、今は体調不良で休業中。

            しかも今日は落語協会のお祭りである。

            A太郎さんは落語芸術協会で、しかも二つ目の噺家だ。


            喉元まで出た名前を飲み込んで答えた。



            「小ゑん師匠です」

            「このぉ、おべっか野郎!笑」


            和気あいあいとした空気になり、その場を切り抜け、お開きになった決勝の舞台から降りる。


            席亭権のことについては後日連絡するから、連絡先と名前を書いてくれ、と言われた。

            また、こうも言っていた。


            「落語会を開くのが難しいなら、代わりに落語グッズをお渡しするってことでもいいよ。

            去年、優勝した人はそうしてたから」


            わかりました、考えておきます、と答えてその場を後にする。


            落語会を開く、席亭とはどんな気分なのだろうか。

            落語グッズでもいいかなと思ったが、一緒に参加した知人たちが許してくれそうにない。


            果たして本当に開催されるのか、一体誰が出るのか、どこでやるのか「マッシュ寄席」。

            もし開催される暁には、ぜひともお集まりいただきたいものです。


            来年は黒門亭クイズ王のディフェンディング・チャンピオンとして、また謝楽祭に参加することだろう。

            一年後の防衛戦に向けて、今日もまた、寄席に足を運ぶのである。










            0

              不意に手にした花束




              講談師、神田鯉栄(かんだりえい)真打披露興行の帰り際、受付で前座さん達が花束を配っていた。


              「どうぞ、お花差し上げます」

              「早いもの勝ちですよ」



              どうやら新真打への贈り物の花を、お客さんへプレゼントしている様子。

              自分は経験がないから推測ではあるが、お祝い事の花はたくさんあればあるほど嬉しいものの、一方で、山のようにもらっても扱いに困るのだろう。

              そのまま捨ててしまっては、せっかく贈ってくれた方に申し訳がない。

              かといって全て持ち帰るには無理がある。

              そこで、欲しいお客さんに差し上げようと。


              結婚披露宴でも卓上の装花をゲストに持って帰ってもらうサービスがあるが、花を持ち帰るのは十中八九、女性である。


              だから今回も、花は女性に差し上げるのだろうと思っていたが、

              「どうぞ、お持ち帰りください」


              と僕にも声をかけるものだから、思わず手にしてしまった。


              あ、もらっちゃった。


              うちに花瓶ないなぁ。買って帰るかなぁ。

              と、思いながら、花束を手に駅まで歩く最中、ハッと気がつく。

              そんなことより……











              男が花束持って一人で電車乗るの、

              結構な羞恥プレイだなオイ!!





              しかもその花は、自分がプレゼントするわけでもなく、自分への贈りものでもなく、おすそ分けなのだ。


              ごめんなさい。こんな時、どんな顔をすればいいのかわからないの。。。


              電車内で突き刺さる視線。

              母親に抱っこされた赤ちゃんのガン見にも耐え、ようやく帰宅。


              真打披露興行に行って、なぜか花束をもらって帰ってくるという。

              普通は祝う側、花を贈る側のはずなのに。


              なんだか、「もしや自分が真打昇進したのではないか」と混乱する出来事であった。



              0

                【編集中】古典落語・聞いたネタ一覧

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                のめる

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                幾代餅
                道具や
                雑俳
                そば清
                時そば
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                佃祭
                小言念仏
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                ねずみ
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                短命
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                芝居の喧嘩
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                転失気
                野ざらし
                弥次郎
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                大山詣り
                千早ふる
                くしゃみ講釈
                あくび指南
                紙入れ
                蛙茶番
                死神
                締め込み
                  


                (2015年1月〜2016年8月)
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                  【編集中】神田松之丞(講談)聞いたネタ一覧

                  ●寛永宮本武蔵伝
                  ・偽岸流
                  ・道場破り
                  ・闇討
                  ・狼退治

                  ・桃井源太左衛門
                  ・甕割試合
                  ・山田真龍軒
                  ・下宿の船宿
                  ・灘島の決闘


                  ●天保水滸伝
                  ・相撲の啖呵
                  ・平手の破門〜鹿島の棒祭り
                  ・ボロ忠売り出し
                  ・笹川の花会
                  ・潮来の遊び
                  ・平手造酒
                  ・三浦屋孫次郎の義侠


                  ●天明白浪伝
                  ・徳次郎の生い立ち
                  ・稲葉小僧
                  ・金棒お鉄
                  ・むささびの三次
                  ・むささびの三次召し捕り
                  ・悪鬼の萬造
                  ・首無し事件
                  ・八百蔵吉五郎
                  ・岐阜の間違い
                  ・大詰め勢揃い


                  ●慶安太平記

                  ・宇都谷峠
                  ・箱根の惨劇

                  ・鉄誠道人

                  ・正雪の最期


                  ●畔倉重四郎


                  ●その他
                  ・違袖の音吉
                  ・谷風の情け相撲
                  ・雷電の初土俵
                  ・幽霊退治
                  ・吉原百人斬り 〜お紺殺し〜
                  ・真景累ヶ淵 〜宗悦殺し〜
                  ・忠治山形屋
                  ・扇の的
                  ・真田の入城
                  ・雨夜の裏田圃(村井長庵)
                  ・正宗の婿選び
                  ・青龍刀権次
                  ・鍋島の猫騒動
                  ・海賊退治
                  ・曲垣と度々平
                  ・和田平助
                  ・小幡小平次
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                  ・淀五郎
                  ・芝居の喧嘩
                  ・飯飼五郎太夫


                  ●新作
                  ・しゅうまい
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                  ・グレーゾーン
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