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    • 2020.09.07 Monday
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    松之丞 マネージャー採用に至る顛末(下)

    ※このブログは虚と真実が入り混じっておりますので
     半信半疑で楽しんで頂ければ幸いです

    ※くどいようですがお姉ちゃんが勝手に応募したのは嘘です

    ※前回の記事はこちら





    2019年5月20日、月曜日。

    求人応募の翌日。


    あまりにも急で何がなんだか、

    心の整理がつかないけれど

    今日ではっきりするはずだ。

    私は電話口の声を反芻した。


    (まずは現場を見てもらって)



    一体どういう展開になるのだろう。

    情報が少ない中、私は予想した。



    〜〜〜〜


    「◯◯です。よ、よろしくお願いします」


    「あー、どーもー。

     いやー、まさかマッシュさんが応募するとは

     驚きましたよー」


    「エヘヘ・・・」



    〜〜〜〜


    ・・・みたいな。


    面接はしないとはいえ、

    講談会の途中もしくは終演後に

    ちょっとした話し合いの場が設けられ、

    改めて業務内容の説明を聞き、

    談笑しながらお互いに質問し合う。


    結果は後日改めておしらせします。

    本日はありがとうございました。



    大方、こんな具合だろう。


    現場を見る、ということは裏へ回って

    講談も聴けるのだろうか。

    だとしたら嬉しいな。


    期待と不安が入り混じる中、

    日中の業務を終えて深川江戸資料館へ向かった。



    到着したのは開演の19時ギリギリ。

    会場には二番太鼓のBGMが鳴り響いていた。


    受付に直接向かう。


    「あのう、◯◯と申しますけれども。

    本日約束がありまして・・・」



    一言告げるとすんなり中へ通してくれた。


    緊張の楽屋前。



    (コンコン)


    「失礼します。◯◯さんがお見えになりました」


    松之丞さんの楽屋だ。

    中には台本らしきものを手にした松之丞さんがいた。


    「◯◯と申します。よ、よろしくお願いします」


    ガチガチに緊張しながら挨拶すると


    それに返答した


    松之丞さんの一言・・・












    「あ、はい。どうも」








    ????







    なんかおもてたんと違う?!!




    二人会のもうひとかたである

    阿久鯉先生にご挨拶するも

    やっぱりどこかそっけない返答だった。









    はっ




    そ、そうか・・・・!!!!









    私はいつも通り客としての姿勢で

    臨んでしまっていた。

    なんなら口元がゆるんで

    半笑いであいさつしてしまったかもしれない。


    しかし演者さんは今から真剣勝負の高座。

    当然、仕事だ。


    どこの馬の骨かわからないド素人風情なんぞ

    邪魔でしかない。


    そうだ、今日は客じゃないんだ。

    いちスタッフ、関係者として接しなければいけない。


    しょっぱなから頭をガツンと殴られたような衝撃だった。




    この日は、いたちやのスタッフさんもしくは

    前座さんについて回り、仕事を見せもらった。


    出囃子のCDを流したり止めたり。

    場内アナウンスを読み上げたり。

    場内、高座は暑すぎないか、寒すぎないか空調をチェックをしたり。

    ネタによっては口演中に照明を落としたり。


    いざ本編が始まると裏方は少し仕事が落ち着くので

    舞台袖で直立不動のまま講談を聞いた。


    昨日まで客席で聞いていた講談を

    舞台袖で聞くのは何だか不思議な気分だった。


    立ちっぱなしの緊張しっぱなしで

    一日が終わった。


    現場に到着してすぐにいただいた

    500mlのお茶は結局封を切ることもできず、

    ずっと手に持ったままだった。


    予想と全然違う展開。

    私の競馬の予想並みに当たらなかった。



    「ま、この5日間はとりあえず見学みたいな感じでいいんじゃないですか」


    帰り際に松之丞さんが言った。


    「は、はい」


    反射的に返事をしたが、





    あれ?





    私、5日間全部来るんだ??








    そんな話は聞いてなかったが、

    選択肢は「行きます」の一択しかない。


    幸い、今週は特に予定はない。

    仕事終わりで駆けつけて5日間連続は

    正直厳しいと思ったが、

    こんなチャンスは人生で二度と訪れない。

    腹をくくってやるしかない。





    二日目。


    この日は少し時間に余裕を持って会場に到着した。

    開演まで時間があったので前座さんに

    いろいろと教わる。


    ネタ帳の書き方。

    一番太鼓から始まり、

    二番太鼓、出囃子、仲入り、仲入り中のBGM、

    最後は追い出し。

    前座さんは手際よくCDを入れ替え、

    選曲して再生していた。

    合間の場内アナウンスもそつなくこなす。


    客として、高座返しや受付対応をする前座さんは

    よく目にしていたが、

    裏方での働きっぷりのまぁ素晴らしいこと。


    そんな前座さん達を目にした私は、

    『ルパン三世カリオストロの城』のラストシーン、

    ルパン一味を見送る庭師のおじいさんの心持ちになった。



    「なんと気持ちのいい連中だろう」



    キレッキレで動き回り、会場のスタッフさん全員にしっかりあいさつする。


    いや、前座さん凄い。


    心から尊敬する。

    自分も頑張ろう、と前座さんに勇気をもらった。




    三日目。


    二日を終え、未だに詳細な話しは無い。


    私以外の付き人候補者はどうしているのだろう。

    応募はどのぐらいあったのだろう。


    私が現場に来ている一方で、並行して何人か面接を進め、

    その後、同じように現場を見てもらい、

    候補者数名のうち一人を採用、という流れなのだろうか。


    とにかく現場は緊張感いっぱいでそんな質問をする空気ではない。


    5日間やりきればきっと何かが見えてくる。


    そう信じて今日も裏方の仕事を見学し、時にはお手伝いした。



    終演後、松之丞さんが私に急に話しかけてきた。



    「◯◯さんって、昔、新宿レフカダで

     やった畔倉の連続読みって来てましたっけ?」


    「あ、いや、行ってないです。

    畔倉だとその前の連雀亭のやつは行ったんですけど・・・」


    「そっかぁ」




    何気ない会話で少し距離が縮んだ気がした。


    今なら聞けるかもしれない。


    すかさず私は質問した。




    「あのう、つかぬ事をうかがいますが、


    今回の付き人の応募者って、並行して面接を進めている方が


    何人かいるんでしょうか・・・?」









    これに対する松之丞さんの返しがこう・・・!!















    「え? いないいない。




    暫定でマッシュさんでいいかなって。





    暫定マッシュで」












    ざ、









    暫定マッシュ・・・・???

















    急にマッシュと呼ばれたのも驚いたが、

    他の候補者の状況にもまた驚いた。



    (え、ってことは、私で決まりなの・・・??)




    松之丞さんは続けて言った。



    「そうそう。明日ラジオの収録だからさ


    マネージャー決まったってしゃべろうかと思うんだけど。


    なんて言おうか。



    ◯◯さん、、、いや



    もうマッシュでいっか」













    軽っ









    まっちゃん軽っ



    ※心の声です





    こうしてマネージャー採用が決まった。


    あっさり。

    軽い。

    わた菓子より軽い我が人生。



    いつの間にか肩書きが "付き人" から "マネージャー" に変わっていたが

    まあなんでもいいや。


    名前を出されるのも応募した時点ですでに覚悟を決めていた。

    むしろ本名より"マッシュ" と言ってくれた方がネット上ではウケがいい。

    望むところだ。


    ラジオの放送日が5月24日の金曜日。

    畔倉重四郎 連続読みの楽日だ。

    よってオンタイムではラジオは聞けないだろう。


    ならば前日までにネタを仕込んでおこうと

    ツイッターでつぶやく内容を考えておいた。


    「問わず語りのマッシュ之丞」


    「お姉ちゃんが勝手に応募した」


    「圧迫面接で何度も涙した」


    「松之丞 講談ウルトラクイズを勝ち抜いて採用された」



    など。



    前日までのツイートは極力気づかれないレベルで

    ほんのり匂わせておいた。


    プロフィールは当日の夕方、こっそり更新しておこう。


    「某講談師の付き人(現場マネージャー)」と。


    ※実際のラジオ放送はラジオクラウドで聞けます

     私の話は 2019.0524 放送のラスト8分ぐらいからです




    畔倉重四郎 連続読みはどうにか完走した。

    18時に仕事を終え、ウイダーinゼリーをくわえながら

    江戸深川資料館へ駆けつけること5日間。


    しんどかったが達成感はあった。

    とにかく無事でよかった。

    マネージャー採用はまだ実感が湧かないが

    とりあえず土日はゆっくり休もう。








    と、思ったのもつかの間、

    日曜には激動の芸協らくごまつりが控えていた。




    この芸協らくごまつりの模様が

    奇想天外、波乱万丈、

    ますます面白いわけでございますが、





    みなさんご承知の通り





    なんとなんと・・・・!!!




    (パパン!!!)





    お時間がいっぱいいっぱい







    この続きはまたいつの日か

    申し上げることといたしまして


    本日のところは



    長い長い


    令和太平記


    全19話の内、



    第四話

    『松之丞 マネージャー採用に至る顛末(下)』の一席。



    これにて読み終わりと致します。







    前座「ありがとウーーーーーーーございましたーーーーーー




     ありがとウーーーーーーーゴザイーーーーーましたーーーー





     ありがとーーーーーーーーーーーーーゴザイーーーーーーー






     マシーーーーーーターーーーーーーーー」






    0

      松之丞 マネージャー採用に至る顛末(上)

      ※ ツイッターをご覧の方に先に申し上げておきますが、

       お姉ちゃんが勝手に応募したのは嘘です。







      平日の午前中。

      仕事の切りがいいところでトイレに立ち、

      何気なくツイッターを覗いた。


      すると目に飛び込んできたのが松之丞さんのつぶやき。



      「神田松之丞 付き人募集」





      つ、、、付き人????




      カッコ書きで "現場マネージャー" とも書かれていた。

      仕事内容は、車の運転やスケジュール管理、その他もろもろの雑用。


      私は演芸好きが講じて、

      「演芸に関わる仕事ができたらいいなぁ」

      と常日頃からぼんやり考えていた。

      そこへきてこの求人だ。



      松之丞さんは何年か前から

      幸運にも私の顔を覚えてくれている。


      時たま独演会へ行き、サインをしてもらうと、

      「ああ、マッシュさんですかぁー」

      と言ってくれる。


      初めて声をかけたのが

      2015年の芸協らくごまつり。


      サインをもらう際に何かひとこと言わねばと

      とっさに出たのが


      「あのう、ツイッターも楽しくて、よく見てます」


      だった。




      「あら、そうですかー。うれしー。

       ちなみになんてアカウント名なんですか?」




      「え? ええっと・・・


       (聞いてもどうせわかんないだろうけど・・・)



       マッシュ、っていうんですけど」



      「ああ、マッシュさんですか。はいはい。わかりますわかります」







      (・・・わかるんかい!!)




      声には出さなかったものの、心の内でそうツッコんだ。

      うれしいやら恥ずかしいやら。

      そそくさとその場を後にした。



      その後も、私は松之丞さんの会に足繁く通い、

      サインをもらう機会があると一言二言、言葉をかわす程度の関係だった。


      しばらくして松之丞さんは、

      2016年、2017年、2018年と階段を一段飛ばしで駆け上がるように

      一気のブレイクを果たし、

      テレビラジオをはじめとしたメディアへの露出がぐっと増えていった。


      嬉しさとともに

      なんだか遠くへ行ってしまったような寂しさもあったが、

      独演会へ足を運べば、

      「ああ、マッシュさんじゃないですかー」

      とやっぱり忘れないでいてくれた。



      そんな松之丞さん関連の求人だ。

      俄然興味はある。

      しかし、未経験だしやっていけるのか、不安も大きい。


      また、それ以前に致命的な問題もあった。



      『募集要項 35歳未満』


      私は現在38歳だ。


      ダメか

      あーあ

      せっかくチャンスだったのに・・・



      たまに飲みに行く仲間に相談してみると


      「とりあえず応募だけでもしてみれば?」

      「年齢詐称しちゃえよ」


      などなど建設的な意見。



      うーん


      そうだなぁ・・・


      年齢詐称するのはどうかと思ったものの

      とりあえず応募してみることにした。

      正直に実年齢で。



      年齢で落とされる可能性が高いけれど

      それは先方が決めること。


      こちらは応募しなければ可能性はゼロだ。


      この日は 2019年5月13日の月曜日。

      応募締め切りは 5月19日(日)18:00 と書いてあった。




      締め切り前日、土曜の夜。

      ノートPCを近所のカフェに持ち込んで

      履歴書、職務経歴書、志望動機・自己PR、

      必要書類を作成した。


      カラスかぁで夜が明けて、日曜日。

      締め切り当日の朝。


      最終チェックの上、いざ、メール送信・・・



      送信ボタンをクリックしようとした所でまた躊躇した。


      私には学歴も職歴も誇れるようなものは何も無い。

      大学は中退。

      20代の頃は職を転々と変えていた時期もある。

      実家暮らしだったゆえにだらだらと過ごし、

      1年近く無職だった期間もある。

      我ながらひどい履歴書だ。

      見てて辟易とする。


      その上、応募要項の年齢制限も満たされていないのでは

      まず通らない。



      片や松之丞さんは、

      今や大人気の講談師となり、

      2020年には抜擢での真打昇進。

      大名跡『伯山』襲名も決まった。


      雲の上の存在、いや、

      大気圏を突破して宇宙へ届こうかというくらい差がある。

      何から何まで違いすぎる。


      松之丞さんは、応募書類には一通り目を通すだろう。


      そして、たぶん、気づくだろう。

      ああ、これマッシュさんかと。

      SNSアカウントも提示するよう応募条件があったからだ。



      不採用となり、その後、また独演会で

      今までと同じように声をかけられるだろうか。

      すべてをさらけ出したあとだ。

      たぶん、恥ずかしくなって、きっとできなくなる。




      でも、



      それでもいいか。



      二度と言葉は交わせなくとも。


      松之丞さんの講談が聞けなくなるわけでも無いし。

      こっそり独演会へ行って、さっさと帰るだけでもいい。


      向こうにしてみれば、私は何万といるファンの一人に過ぎない。


      応募して、落とされてもネタになるしな。




      おれ昔さ、松之丞の付き人の求人、応募したんだよなーって。


      あれ受かってたら今頃どうなってたかなーって。


      ははは。


      バーカ。


      受かるわけねーだろうって。



      ここまで準備して応募しなければ、

      それこそ一生後悔する。


      恥を忍んで、えいやっ、とGmailの送信ボタンを押した。




      送った。

      はー。

      送っちゃった。


      とりあえずやることはやった。




      『面接に進む方のみ、21日(火)までに電話でご連絡します』


      とウェブサイトには書いてある。


      よし、もう火曜まで電話を待つのみ。

      人事は尽くした。



      日曜日の午前10時。

      まだたっぷり時間はある。

      あとは好きなことをして休日を過ごそう。

      パソコンを落とし、清々しい気持ちで外へ出た。


      今日の予定は、ジムで少し身体を動かして、街をぶらぶらしてから

      お江戸日本橋亭でおこなわれる『田辺いちか講談会』へ向かうのだ。

      ずいぶん前から予約していた楽しみな会だった。





      家からジムへ歩いて向かっていると





      (ピリリリリリリ・・・・・)





      一件の着信があった。

      知らない携帯電話番号だ。


      も、もしや・・・・???


      足を止めて電話に出た。




      「は、はい、◯◯です」


      「いたちやの古舘ですけれども。


       この度は神田松之丞の求人へご応募いただきありがとうございます」







      ナニぃぃぃぃーーーーーーーーー






      電話の主は松之丞さんの奥様だった。

      いたちやさんの興行にはなんども足を運んでおり、

      たまに奥様が受付にいらっしゃるので認識はしていた。



      (え、、これ何の電話・・・??


      応募書類に不備でもあったのかな・・・・)



      奥様は続けて言った。


      「明日19時から深川で会があるんですけど、来れますか?

      今のお仕事は、土日休みですか?」



      (明日・・・ 畔倉重四郎の連続読みか・・・)


       チケットの購入を迷ったが見送った会だった。



      「はい、土日休みで9時〜18時なので、、、、

       19時までには行ける、と思います。」


      「そうですか、じゃあいらしてください」


      「はぁ、あの、面接、でしょうか・・・?」


      「面接・・・(失笑)


      と言いますか、


      私も松之丞もあなたのことは存じ上げておりますので。


      まずは現場を見てもらって」


      「わ、わかりました。宜しくお願いします」



      電話を切った。


      んん?


      こ、これは・・・


      次のステップ進んだ?


      あなたとね

      今日がチャンスね

      次のステップ進みたいの〜



      次のステップ進んだよね?


      てっきり年齢で落とされると思っていたので

      青天の霹靂だった。

      しかも応募、メール送信からわずか45分後の出来事。



      その場でオロオロと動揺した。


      どどどどどどうしよう。

      明日か。

      すぐだな。

      明日っていうと、寝て起きてすぐだな。



      パニックがおさまらない。

      ひとり宿屋の富状態。



      ととととととりあえず髪を切ろう。

      予定を変更して急遽、髪を切りに行った。



      何が何だかよくわからないが、

      ひとまず候補には残ったようだ。

      面識があったから、面接が免除されたのかな。


      しかし、私のことを松之丞さんは知っていても、

      奥様も知っているとはどういうことか。

      「フフッ」と失笑したように聞こえたがあれはなんだったのか。


      頭に???がたくさん浮かぶが、

      明日行けばはっきりするに違いない。


      明日だ明日だ明日だ。











      そして、翌日。



      (パン!)





      仕事を終えて



      いざ



      深川江戸資料館へ馳せ参じたわけでございますが、







      なんとなんと・・・・・!!!!






      (パパン!!!!!)








      ここでお時間がいっぱいいっぱい





      この続きは


      またいつの日かお届けすることといたしまして




      本日のところは


      (パン!)



      『松之丞 マネージャー採用に至る顛末(上)』の一席。




      (パパン!!!!!)





      これにて読み終わりと致します。








      前座「ありがとーーーございーーーーーましたーーーーー


      ありがとーーーーーゴザイーーーーーましーーーーッターーーー


      ありがとーーーーーゴザイーーーましーーーったーーーーーーー・・・・」






      0

        忘れ得ぬ手ぬぐい vol.2 『昔昔亭A太郎』

        思い出の手ぬぐい。

        忘れ得ぬ手ぬぐいの第二弾は

        噺家、昔昔亭A太郎(せきせきてい えーたろう)さんの手ぬぐいです。






        2015年、私が落語を聴き始めて間もない頃、

        A太郎さんのブログにこんな記事がありました。


        『新作落語のタイトルを考えてくれた方には手ぬぐいを差し上げます』


        そのネタは、渋谷らくごでネタおろしをしたばかりで

        タイトル未定のまま高座にかけられていました。


        私はその新作をまだ聞いていないにもかかわらず、

        手ぬぐい欲しさにタイトルを考え、A太郎さんのブログにコメントを残しました。



        その名も

        『名もなき噺(はなし)』


        ミスチルのヒット曲「名もなき詩」のパクリですが何か?


        だってネタ聞いてないからとっかかりが「タイトル未定」しか

        ないからしょうがないじゃない。


        すかさず、A太郎さん本人からコメントがありました。



        「どのネタにでも付けられるタイトルですね」









        冷たっ


        コメント冷たっ





        いや確かにそうだけれども。

        もっとこう、「イマイチだけど、ありっちゃありかな〜」

        的なニュアンスを込めたコメントとか欲しかったな。

        オブラートに包んだ大人なコメントがさ。


        軽く傷ついたものの、タイトルを考えたのは事実。

        これで手ぬぐいをもらう権利はあるはず。



        『タイトルを考えてくれた方は自己申告でお願いします』


        こうも書かれていました。


        (どういうことだろう?)

        (「新作のタイトル考えました」って直接言いに行けば

         いいのだろうか?)


        そう解釈した私は、数日後、連雀亭にA太郎さんを聞きに行き、

        終演後、勇気を出して声をかけました。




        「あのう、あの新作落語のタイトル考えたんですけど・・・


         手ぬぐいっていただけるんでしょうか」






        噺家さんに声をかけるのは初めてでしたし、

        A太郎さんの芸風は陽気でおおらか、、ではなく

        陰気で時にお客さんに対しても毒も吐くタイプ

        なのでどんなリアクションをされるか、正直不安でした。

        (その芸風がまた魅力でもありますが。)


        そんな緊張の中、声をかけると、







        「ああ、ホントですか! ありがとうありがとう」











        (あれ・・・?


        意外とやさしいじゃん・・・



        意外とやさしいじゃんA太郎・・・!!)








        「どれ考えてくれたの?」


        「ツイッターとかSNSで宣伝しといてよ」




        など矢継ぎ早に話されてオロオロしている間に

        手ぬぐいも本当にいただけたのでした。


        感激した私は早速、手ぬぐいの恩義に報いるべく、

        ツイッターとインスタでA太郎さんから手ぬぐいをもらったとアップ。


        それからというもの、A太郎さんが出演する落語会へ行った際は

        なるべくSNSにアップするように心がけて、こんにちに至ります。


        手ぬぐいをいただいたのが、2015年3月14日だったので、

        かれこれ足掛け4年。


        私のSNSで感想をアップする行為が

        どの程度の宣伝効果になっているかわかりませんが、

        今日も今日とてA太郎さんの落語を聞き、

        SNSにアップしているのであります。


        もちろん、義理だけでおこなっているはずもなく、

        A太郎さんの落語を面白い、また聞きたい、

        という気持ちがあるから続いているのは言うまでもありません。


        そして、A太郎さんも2020年5月に真打昇進が決まりました。


        いやぁ、めでたい。


        真打披露興行、とても楽しみにしてます。



        ちなみにタイトルを募集したネタは結局『未定』という暫定タイトルが

        そのまま正式なタイトルになり、今でもたまに高座にかけられています。


        この『未定』は、かなりシュールなネタなので賛否両論ありますが、

        A太郎さんの新作落語のなかでも思い入れがある、好きなネタのひとつです。




        0

          忘れ得ぬ手ぬぐい vol.1 『連雀亭』

          時代は平成から令和へ。

          平成最後の日は大そうじをしました。

          所有の手ぬぐいを整理したところ、
           
          これがまた山のような数。。。


          お気に入りでよく使うものから、未開封で大事にとってあるもの。

          奥にしまってあって久しぶりに目にしたもの。

          様々でしたが、手に取ってみると、

          一枚一枚どれも思い入れがあり。


          せっかく集めた手ぬぐいなので

          ブログで紹介してみることに相成りました。


          記念すべき第一弾は、いきなりとっておきの手ぬぐいから。



          『連雀亭 手ぬぐい(サイン入り)』






          連雀亭とは、神田にある若手専門の寄席で、

          キャパシティは40名程度の小さな小屋です。


          この手ぬぐいは、

          2017年1月2日の連雀亭正月興行で購入しました。


          今やメディアに引っ張りだこ、

          チケットが取れない講談師の松之丞さんがトリで

          出演した会でしたが、当時はまだブレイク前夜といったところで、

          満席ではあったものの、少し余裕を持って行けば

          悠々入れました。


          松之丞さんといえば、

          2020年2月の真打昇進に伴い、

          大名跡の『伯山』を襲名するというビッグニュースも

          飛び込んできました。いやぁ、めでたい。


          その連雀亭の開演前、お正月の特別特典で、

          連雀亭特製 手ぬぐいに出演者のサインを入れて

          希望者に千円で販売してくれるというのです。





          (なにその手ぬぐいめっちゃ欲しい……!!)







          真っ先に元気よく垂直に手を挙げた私でしたが、

          確か購入希望者は5名程度だったと記憶しています。


          サインが消えてしまうといけないので、

          使わず大事に飾ってあるこの手ぬぐい。


          松之丞さんが伯山先生になり、

          いつの日か人間国宝になった暁には……




          この手ぬぐい、

          なんでも鑑定団に持って行こうかな 笑。




          0

            京山幸乃の初舞台を見に行ってきました物語(後編)

            ※ 前回までのあらすじ
             
             新幹線カードを使って目的地・加古川に到着。
             いよいよ、京山幸乃・初舞台が今始まる。





            ※ この画像に特に意味はありません



            会場に到着し、トイレを済ませて着席。

            開演時間の10分前だった。

            どうにか間に合ってよかった。ふぅ。


            「なぁ、ちょっと聞いてよ」

            追加招集となったK氏がしゃべりだした。

            S氏、T氏が今朝からそわそわし出して、

            緊張しているというのだ。


            なぜ?

            自分がやるわけじゃないのに?


            私は緊張しなかった。


            「なんで外野が緊張してんだよ」


            東京弁でツッコミを入れ、鼻で笑った。


            雑談しているうちに時計の針が開演時間の14:30を指した。

            ガチャリと前方のドアが開く。


            京山幸太さんの独演会だ。

            当然、開口一番で幸乃さんが出てくると思いきや、

            登場したのは幸太さんだった。


            妹弟子が本日初舞台であると説明してくれ、

            幸乃さんを呼んで二人でオープニングトークが始まった。


            「なぜ浪曲師になろうと思ったのか」

            「埼玉からわざわざ関西へ来たのはなぜなのか」

            「今日の意気込みは?」


            幸太さんが軽妙なトークで進め、

            幸乃さんはつっかえはしないものの、

            緊張感たっぷりの受け答え。


            (だ、大丈夫か……?!)


            少々心配になる。


            オープニングトークが終わり、

            いったん二人とも下がってから


            改めて京山幸乃、登場。


            (やばい、私も緊張してきた……)


            割れんばかりの拍手。


            「待ってました!!」


            「たっぷり!!」



            会場の後方から声もかかる。

            我々だけでなく、合計10人以上も東京から駆けつけていたらしい。

            熱いぜ、浪曲ファン。


            もう一度、簡単にあいさつし、 演目名を言う。


            『雷電と八角』


            お三味線が鳴り始め、

            表情が変わった。

            幸乃さんが唸る。

            浪曲の節(歌の部分)だ。



            その声。


            声量を耳にしたら、

            自然と涙がこぼれ落ちてしまった。




            す、すごい……!



            なんというか、

            浪曲師がしっかり浪曲をやっているように見えた。

            ちゃんとしてる。


            堂々とした佇まいだった。

            一年以上、稽古を積み、浪曲に触れながら

            会場の手伝いや師匠の身の回りの世話など、

            芸人として過ごした日々が、

            芸人らしい空気を感じさせたのかもしれない。


            涙が出たのは、この日が来るまでの苦労を多少なりとも

            知っていたからかもしれない。


            演芸が好きで、

            浪曲が好きで、

            浪曲や講談を習い、

            大阪で聞いた京山幸枝若に惚れ込んで、

            会社を辞めて弟子入り志願。

            そして、弟子にしてもらえるかわからないまま大阪へ引っ越し。


            男性には分からない女性特有の悩みもあっただろう。

            悩みに悩んで、芸人になるなんてやめておけと言われながらも、

            それでもやりたい、浪曲師になりたいと、

            勇気を出して一歩を踏み出し、

            そして浪曲師になるという夢を叶えた。


            すごい、あんたすごいよ、幸乃さん。


            終演後、本人いわく、最後の方は間違いそうになってドキドキしたと

            言っていたが、客席からは全然分からなかった。


            終始、堂々として見えたし、

            啖呵(浪曲の会話の部分)もしっかり演じ分けができていた。

            最後の方は楽しそうに唸っているようにさえ見えた。


            終演後にお客さんのお見送りをしていた幸乃さんを捕まえて

            よかった、素晴らしかったと声をかけた。

            みんなで一緒に記念写真も撮った。


            本当にいいものを見せてもらった。

            清々しい気持ちで外へ出ると、が舞っていた。



            「今日、山は雪やのぉ」


            師匠から京山幸乃という名前をもらった時、

            名前の由来はこうや、と言われたそうな。


            その幸乃さんの初舞台の日に雪が降るとは。

            浪曲の神様の粋な計らいか。

            (ちなみに兄弟子の京山幸太さんの由来は「今日、山買(こ)うた」らしい)


            しかし感動したのもつかの間。

            初舞台はゴールではなくスタート。

            芸に邁進して立派な浪曲師になって欲しい。


            がんばれ、京山幸乃!

            じゃあな、京山幸乃!

            泣くな、京山幸乃!!

            (あ、泣いたのは俺か)


            あばよ!!






            幸乃さんに別れを告げ、

            せっかく関西に来たのだからご当地グルメを楽しもう。

            帰りは私も車に乗っけてもらうことに。

            すでにプランは練ってあると聞いたのでお任せしてついていく。



            まずは加古川名物かつめし。





            夕飯は大阪・鶴橋で焼肉。





            スパで一泊して翌日は帰り道に浜松に立ち寄り、

            炭火焼レストラン『さわやか』のげんこつハンバーグ。












            ……肉ばっかりかよっ





            高校生みたいな飯チョイスになったが、名物だけあってどれも美味しかった。

            特に『さわやか』のげんこつハンバーグは絶品。

            肉の鮮度にこだわるため、静岡県以外には店舗を出さない経営理念なんだとか。

            その経営理念も含めて気に入った。

            うまいよ、さわやかのげんこつハンバーグ。

            静岡に来たら必ず食べることにしよう。さわやか。



            横浜付近で事故渋滞はあったものの、基本的にはスイスイ進み、

            日が落ちる前には東京に戻った。


            「なんか、今朝まで大阪にいたの、変な気分だな」

            T氏がつぶやいた。

            そうだな、本当に不思議な気分だ。


            無事が一番。

            ガソリンスタンドで停まっていたバイクに
            バックで当ててしまうような事故も起こさず、全員無事に帰宅。

            充実した土日だった。



            勇気を出して一歩踏み出せば、

            浪曲師にだってなれるし、

            朝起きて新幹線に乗って関西の浪曲を聞きに行くことだってできる。


            前向きな気持ちにさせてくれた京山幸乃さんの初舞台でありました。


            最後に一句。


            雪の日に 京山幸乃 初舞台

            笑顔晴れやか 気分さわやか




            ご静聴ありがとうございました。








            【おまけ】



            「ねぇ、おじいちゃーん」


            「んー?」


            「こないだの伯山・幸乃 二人会、楽しかったねー」


            「そうじゃなぁ」


            「伯山さん、ボヤいてばっかりだったけどね」


            「ああ」


            「あの人、昔からあんな感じだったの?」


            「そうじゃなぁ。昔は汗だくだくにかきながら講談やっとったよ。

             テレビ・ラジオにたくさん出て大人気じゃった。

             自分のラジオ番組でも愚痴ばっかり言っとったのう。

             なんて番組名だったかのう。とわ…… 問わず、なんとかって」


            「ふーん。今から行く福太郎・幸乃 二人会の福太郎さんは?」


            「福太郎さんは昔、太福って名前でな。伯山さんの人気を追うように

             やっぱり売れに売れてな。二人とも講談・浪曲の救世主じゃった」


            「へぇー。幸乃さんは?」


            「幸乃さんはなぁ。

             おじいちゃん、幸乃さんが浪曲師になる前から友達じゃった。

             浪曲師になって初舞台の時は関西まで応援に駆けつけたもんじゃ」


            「友達なの? えー、ぜったいうそでしょー?」


            「え? ・・・はっはっは。ごめんごめん。うそうそ。

             おじいちゃんはただの幸乃さんのファンじゃった」


            「なーんだ、やっぱりうそかー」


            「ごめんごめん。カッちゃんは将来、浪曲師になりたいんだったかのぅ?」


            「ちがうよ、ぼくは講談師になるよ。伯山さんに弟子入りしようかなぁ」


            「そうかそうか。楽しみじゃなぁ・・・」




            おしまい


            0

              京山幸乃の初舞台を見に行ってきました物語(前編)

              どうしよう。

              私は悩んだ。

              やめるべきか。

              それとも、強行するべきか。





              話は2018年、年末に遡る。


              とある酒の席にて。

              「せっかくだしみんなで応援にいかない? おれ車出すよ」

              とS氏が切り出した。


              演芸仲間のエリさんが浪曲師になるため

              大阪へ引っ越したのが2017年12月。

              二代目 京山幸枝若に弟子入り志願し、

              見習いとして修行を積み、

              正式に入門が叶ったのが2018年9月。


              そしていよいよ。

              浪曲師・京山幸乃(きょうやま ゆきの)としてデビューする。

              初舞台が2019年1月26日(土)に決定した。

              兄弟子、京山幸太さんの独演会に出演するのだ。








              当然、初舞台の地は関西だ。

              兵庫県加古川市。

              我々、関東民が気楽に駆けつけられる距離ではない。


              そんな中でS氏の男前な発言である。

              「いいね、いこっか」

              「そうだな、車出してくれるならいくか」


              皆、前向きな姿勢を示すも、

              その後、年が明け、連絡がないまま初舞台まで2週間に迫っていた。


              「あの件どうなった?」


              しびれを切らした私がせっつくと、

              「休みが取れるか調整してみます」

              とS氏から応答あり。


              (のちに判明するのだが、「おれ車出すよ」発言はベロベロに酔った酒の席だったので覚えてなかったらしい。。。)



              無事にS氏の休みが取れ、それなら行こうと私とT氏を含め3人が決定。

              追加でK氏が加わり、男4人で関西へ乗り込む計画となった。



              そんな中。

              1月、関東地方で極端に降雨が少なく、

              空気が乾燥している影響を受け、

              インフルエンザが大流行し始めた。


              私の職場も例外ではなく、初舞台ツアーを目前に控えたある日、

              私の座席のトイメンに座る社員が休み始めた。

              インフルエンザだった。


              翌日も一人。次の日もまた一人。

              続々とインフルエンザ感染者が増えてゆく。

              まるで金田一少年の事件簿で次々と死者が増えてゆくように。


              私はここでインフルエンザになるわけにはいかないと、

              強い気持ちで日常生活を送るも、ついにせき、鼻水が出始めた。


              (熱はないから軽い風邪だろう)


              出発の前々日、前日になっても体調はすぐれない。


              目的地の兵庫県加古川市は東京から車で約7時間。

              したがって前日の金曜夜に出発する計画だった。


              出発当日の朝になっても体調は平行線。


              職場はインフルエンザを含め、体調不良の欠勤者が続出し、

              その分しわ寄せのため仕事量が増加。

              疲れも溜まっていた。


              これで無理して寝ずに出発したら、

              たとえただの風邪だとしても

              悪化は間逃れず、しかも車内全員にうつって4人パーティー全滅もありえる。

              万が一、インフルエンザだったとしたらなおさらだ。


              当日ドタキャンも迷惑だと思ったが、

              最悪の事態は避けなければならないと、

              かくかくしかじか、理由を説明の上、辞退の旨を伝えた。


              「そこまで体調が悪くないなら、
               
               後部座席にふとんあるから寝ながら一緒に行く?」


              心に沁みる提案を受け、また悩んだが、やっぱり断った。


              初舞台は見れずとも、また近いうち見る機会はある。

              今回は申し訳ないがやめておこう。


              自分自身を納得させるように言い聞かせ、早めに床に着いた。



              からすカァで夜が明けて。



              初舞台当日の朝。

              幾分、体調は良くなったが、まだせきや鼻水は出る。

              を計ると36.8°C

              やはりインフルエンザではないようだ。


              時計を見ると7時を回っていた。

              日付が変わる前に車で出発した彼らは

              そろそろ関西に着いた頃だろうか。


              今日は安静にしておこう。

              もう一眠りしようかと思った。

              が。

              まだ間に合う時間だ。


              実は前日に念のため、新幹線でいく場合の出発時刻を調べておいた。

              9時過ぎに家を出れば、新幹線と在来線を利用して

              13:50 には加古川に到着する。

              開演時間の14:30に間に合う。


              (どうしよう。一応、支度だけするか)


              二度寝はせず、朝ごはんを食べて身支度を整える。


              (どうしよう。とりあえず、家を出るか)


              近所の落語会へ行くような軽装で家を出た。

              電車に乗って東京駅を目指すも、まだ悩む。


              (今日は安静にしといた方が無難だよなぁ)


              (片道一万五千円か。高いよなぁ)


              池袋から丸ノ内線に乗り換える。

              徐々に東京駅が近づくにつれ、だんだん思考が変わってきた。


              (インフルエンザじゃないし、風邪も大したことないし、行くべきじゃないか)


              (仲間のせっかくの晴れ舞台だ。また見に行くチャンスはあるだろうが、初舞台は一生に一度じゃないか)


              (一万五千円は浪曲一席聞きに行くには高いが、俺は何のために働いてるんだ? こういう時に金を使うためじゃないのか)


              細かいことは置いといて……

              何より、行った方がいろんな意味で

              おもしろいんじゃないか?


              人生は迷ったらおもしろいと思う方を選ぶんだっ。


              気づくと電車は東京駅に着き、

              私は勢いよく新幹線の切符売り場へ駆けていた。

              券売機で加古川までの切符を求める。

              新幹線に乗り慣れていないため、少々戸惑うも無事に買えた。

              発車時刻は10:03。

              時計を見るとあと10分もなかった。

              慌てて改札へ向かう。



              (ピコーン)


              自動改札が通してくれない。


              「お客さん、特急券も一緒に入れてくださーい」


              駅員さんに注意される。

              これか?!


              (ピコーン)


              またかよ!!


              「お客さん、それ領収書ですー」


              駅員さんの厳しいツッコミ。


              ああ、こっちか!!


              ようやく自動改札を突破。

              時間がない。


              「ここここここれ何番線に行けばいいですか?」


              恥を承知で駅員さんに切符を見せる。


              「えっと、、13番線です」

              「ありがとうございましたっ!!」


              走って走ってエスカレータを駆け上がると新幹線が待っていた。

              3分前に無事に乗車完了。

              ふー。






              あとは新幹線に乗ったまま西明石まで行き、JR神戸線に乗り換えて加古川まで16分だ。


              しかし、最後の大物トラップ、乗り過ごしにハマったら全てが水泡と化す。

              新幹線の乗車時間は3時間以上あったが、

              居眠りはせず、

              降りる駅を間違わぬよう

              西明石
              西明石
              西明石
              西明石
              西明石





              お経を唱えるようにブツブツ言いながら新幹線の窓を見てやり過ごした。


              その甲斐もあり、西明石での下車に成功。

              乗り換えも間違わず、予定通り13:50に加古川駅に到着。

              駅から徒歩5分の場所が会場だ。


              あとは余裕だと思ったのがいけない。

              私の方向音痴は筋金入りだ。

              グーグルマップを見ているつもりだがいつの間にか逆走し、

              しかし、すぐに気づいて戻り、ロスを10分に抑えた。

              上出来だ。


              会場に着くと先に到着していた車組の3人とついに合流。


              間に合った。


              いよいよ。


              浪曲師、京山幸乃 舞台。


              会場にはおよそ50名を超えるお客さん。


              開演時間の14:30を回り、


              前方のドアがガチャリと開いた。







              そこへ姿を現したのは・・・・・・!!!!!







              なんと!!!!!!
















              〽︎ ちょうど時間となりましたぁぁあぁぁ〜〜〜〜








               まずぅぅっ








               これぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜






               までぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜









              (次回へ続く)


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                許可局麻雀 in 湯河原 '18




                麻雀好きなら一度は体験したいこと。

                それは、温泉宿での一泊麻雀である。


                ここ1年ほど、
                『東京ポッド許可局』というラジオ番組のリスナーつながりで
                隔月ペースで麻雀をしている4人のメンバー。

                T氏、S氏、E氏、そして僕。


                毎回、日程調整や雀荘の予約をしてくれているT氏から

                「今度、温泉宿で麻雀なんてどうですか」

                と提案されたのが昨年の10月だった。


                先にお伝えしたように、麻雀好きならやってみたいに決まっている。

                僕を含めた3人はもちろん乗り気。
                S氏はそれなら、と仕事で使っている車を出してくれるという。

                早速、日程を調整し、すぐさま宿の予約も済ませたのだった。


                宿の手配をしてくれたT氏。

                車の用意と運転をかって出てくれたS氏。

                このメンバーの中では一番麻雀に精通しているので、
                麻雀中の細かい点数計算などを担当する僕。

                そして、特に役割もなく、
                ただただ麻雀をしに行くだけというE氏。


                心待ちにしていた麻雀一泊旅行がついに実現。



                空気の冷たい真冬。

                土曜日の朝。

                いい天気。

                絶好の旅行日和である。

                メインの目的はバリバリのインドアだけど。


                9時に池袋に集合し、いざ出発。

                渋滞もなくスイスイ高速を走り、
                湯河原で早めの昼食にラーメンを食し、
                12時過ぎにはお宿に無事到着した。


                いよいよ勝負の時。

                今回は個人的に負けられない戦いだった。

                というのも、このメンツ、トータルでは勝ち越しているものの、

                前回はまさかのマイナス、しかも最下位に沈む屈辱を味わっていたからだ。


                続けて負けるわけにはいかない。

                目下のライバルであるT氏は、三峯神社のオオカミパワーを
                崇拝するようになってから絶好調である。





                三峰神社で購入した狼のTシャツを着ただけで
                スーアンコ単騎、ダブル役満を
                アガって他3人を震え上がらせた。
                (ちなみに振り込んだのはS氏)


                今回は負けん。

                オオカミパワーにこれ以上後塵を拝するわけにはいかない。

                狼退治を果たすべく、勝負の火蓋は切って落とされた。


                序盤は波に乗れなかったものの、夕食を終え、
                温泉に入った後に流れは一変。

                オオカミパワーのお株を奪うスーアンコツモが炸裂し、
                見事トータルトップを奪還。


                半荘8回、約10時間に及ぶ死闘。

                時計の針は午前2時を指していた。



                カラスかぁで夜が明けて。

                旅館の朝は早い。

                朝食を済ませてなお、チェックアウトの11時まで
                時間があったので、泣きの一回。もう一勝負。

                しかし、返り討ちに成功。

                ダントツトップを取り、真の決着がついた。


                思った以上に勝ったので、宿代が浮いた。

                いや、麻雀でお金を賭けてはいけないので
                気のせいだとは思うが、浮いた気がした。

                麻雀でお金を賭けたことなどない。

                賭けているのはプライドである。


                帰りがけに温泉に立ち寄り、
                東京に戻ってきたのは昼下がり。


                麻雀で勝った負けたはあるものの、みんなで温泉に入ったり、
                麻雀中にラジオクラウドで東京ポッド許可局を流して
                あーだこーだ喋ったり。

                いやぁ楽しかったね、と4人の感想は一致していた。

                あとはガソリンを入れて高速代やら諸々を清算し、
                遅めの昼食をとってお開きだね、と。

                実に楽しい、平和な空間だった。


                そう、この時まではーーー


                このあと起こる忌まわしき事件のことなど
                誰も予想だにしなかったのだから。



                悪夢は突如として我々に襲ってきた。

                それはセルフガソリンスタンドに立ち寄った時のこと。


                ガソリンを入れ終え、さあメシに行こうと、
                車をバックした時だった。























                (ガン!!!!!)







                後方から鈍い音がした。


                なんと、止めてあったバイクに突っ込んでしまったのだ。

                幸い、ライダーは離れた場所にいて無事だったものの、
                バイクの後ろが歪んでしまった。

                すぐに謝罪に行くS氏。

                ライダーのおっちゃんは怒る様子もなく、
                案外さっぱりしていたというのは、
                そのバイクはレンタルバイクで、
                乗り終えてこれから返しに行くところだという。

                レンタルバイク屋もほど近い場所だったため、
                すぐにおっちゃんの誘導でレンタルバイク屋に移動した。

                車を停め、レンタルバイク屋に入るS氏。

                じゃあこれでお開きで、とS氏は言ったものの、
                さらに駐禁を切られようものなら
                目も当てられないと思った僕ら3人はS氏の帰りを待つことに。

                数分後、S氏がレンタルバイク屋から出てきた。

                警察を呼んで現場検証をしなくてはいけないとのことで、
                また先ほどのガソリンスタンドに戻るのだという。


                「じゃ、またね……」


                なんとも後味の悪い旅の終わりになってしまったが、
                僕ら3人はお腹が空いていた。

                思い出はいつもきれいだけどそれだけじゃお腹が空くのだ。


                このあと警察との現場検証を控えたS氏に悪いとは思いつつも、
                リッチに神戸牛のレストランに立ち寄り、遅めの昼食をとる3人。

                そして、S氏に見せつけるように料理の写真を送りつける畜生なT氏。


                「ゔおおーい」


                とS氏からすぐさま返信があった。

                よかった。元気そうだ。



                この旅で感じたのは、ああ、寄席と同じだなと。

                寄席では様々な落語家、色物が出てきて楽しませてくれるけど、
                最後に登場する、トリの真打が一番心に残るものだ。

                極端に言うと、トリの落語以外はほとんど忘れてしまう。


                今回の楽しかった旅も、トリの強烈なインパクトによって、
                おそらく皆、

                「あー、はいはい。最後にS氏が事故ったやつね」

                と、この旅行のことを思い出すことだろう。


                麻雀に惨敗し、最後は事故るという。

                S氏にとっては踏んだり蹴ったりの旅となってしまったが、

                これにめげず、ぜひ次回も参加してほしいと思う。


                勝負に勝ったのは僕だったが、

                今回の旅の主役、MVPは間違いなくS氏だった。

                それがいいか悪いかは別として。


                ツイッターでも旅の様子をつぶやいていたので、

                このブログを読んでいる方の中にはS氏の知り合いもいると思うけれど、

                今度、S氏に会った時は、一言こう声をかけてあげてほしい。








                ドンマイ! と。










                ※ 狼Tシャツに対抗すべく用意した勝負服『東京ポッド許可局 梅ヶ谷Tシャツ』




                ※ 狼退治を決めたスーアンコ(親っかぶりはS氏)




                ※ さらば湯河原、まだ事故る前の平和な帰りの車内から


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                  ライブハウスで起きた小さな出来事 後編




                  前編はこちら



                  ライブで隣に座った女の子に声をかけようか。

                  やめようか。

                  消極的な僕の背中を押してくれた、

                  一週間前の出来事とは……!!!!



                  おそらく、読者の大半は察していると思います。

                  それで正解です。

                  はい。



                  失恋です。



                  ラジなりフェスの一週間前、僕はお付き合いしていた女性にフラれました。

                  詳細はまたべつの機会に、ということで割愛しますが、まぁ、見事にフラれました。


                  10-0 の5回コールド負けです。

                  失神KO負けです。

                  30馬身ぶっちぎられた大差負けです。


                  「そんなさぁ、30代男が失恋の一つや二つで何言ってんの?」


                  と思うかもしれませんが、

                  そこは恋愛レベル超高校級の僕です。


                  お医者様でも草津の湯でもフラれた病は治りゃせんのです。


                  食べ物はのどを通らず、


                  頬はこけ、


                  三日間一睡もできず、


                  涙が枯れるまで48時間泣き続けました。


                  鏡に映る男は、まるで桂歌丸。


                  ※話半分で読んでください

                  ちょっと泣いたのは本当ですけど。



                  まぁ、とにかく人並みに落ち込みました。

                  そんな心の傷がかさぶたにもならないうちに

                  ラジなりフェスです。


                  迷いました。

                  こんな気落ちしている状態で楽しめるかなと。

                  暗い男が行っても迷惑なんじゃないかと。


                  フェスなんか行かずに一人飲み屋に行って


                  「何が女だコノヤロー!!!!」


                  「勝手にどこへでも行っちまえバカヤロー!!!」


                  「オヤジ、続けて二本持てまいれ!!!」




                  なんてパーパー言いながら熱燗をぐびりぐびりと

                  朝まで一人で飲んでた方がいいんじゃないかと。


                  でも。

                  でもな。

                  せっかく前から予約をしていたんだし。

                  気分転換になるかもしれないし。

                  やっぱり行こうと。


                  そんな思いで来たラジなりフェスでした。



                  そして、開演1分前。


                  そうだ、僕にはもう失うものなんてない。

                  別に女の子と仲良くしてようが

                  彼女に後ろめたい気持ちになることもない。

                  だって彼女なんていないもん。ははは。



                  女の子に声をかけると言ってもナンパするわけでもないし、

                  やましい気持ちなんてほとんどないんだから。ほとんど。


                  もうどうにでもなればいい。

                  半分やけくそな心持ちで、ようやく声を絞り出しました。





                  「あのう…… すみません。


                  だ、だ、だ、だ、誰のファンですか?」







                  隣の女の子は急に声をかけられて驚いた様子でしたが、

                  答えてくれました。



















                  「え……?


                   ああ、A太郎さんです」














                  A太郎ファン、一発ツモキターーーーーーーー





                  これはラッキー。

                  引きが強い。

                  僕の運もまだ尽きちゃあいない。

                  今ならリンシャンカイホーで四暗刻だってツモれる。






                  すかさず、

                  これ、よかったらいりませんか?

                  と、例のA太郎うちわをカバンから取り出すと、

                  女の子はとても喜んでくれました。


                  これをきっかけに二、三、会話も弾み、ラジなりフェスは数分押してスタート。

                  ライブがまた予想以上に楽しく、しばらく笑いが止まらないぐらい何度も大笑いしました。


                  ライブが終わると、

                  「楽しかったですね。お疲れ様でした」

                  と隣の女の子に声をかけてその場を後にした僕。



                  帰りの電車では達成感と清々しい気持ちと。

                  楽しかった光景で胸が満たされ、

                  気づくと失恋の暗い気分はだいぶ薄まっていました。


                  いつまでもメソメソしてても仕方ない。

                  終わったことをあーだこーだ言ってももう遅い。


                  上を向いて歩こうと、そんな気持ちにさせてくれた夜でした。


                  ラジなりフェスよ、どうもありがとう。


                  メンバー5人全員に1万円ずつ祝儀をあげたくなりました。

                  あげないけど(笑)


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                    ライブハウスで起きた小さな出来事 前編




                    12月14日、木曜日。

                    2017年もあと半月となった寒い夜。

                    僕はライブハウスへ行った。

                    『ラジなりフェス』である。

                    『ラジなり』とは、毎週金曜日にポッドキャストにアップされる、

                    二つ目の落語家5人のおしゃべり番組である。

                    メンバーは


                    昔昔亭A太郎(せきせきてい えーたろう)

                    柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく)

                    瀧川鯉八(たきがわ こいはち)

                    春風亭昇々(しゅんぷうてい しょうしょう)

                    春風亭柳若(しゅんぷうてい りゅうじゃく)




                    毎週欠かさず聞いている番組(たまに聞いてないかもだけど)なので、

                    今回の公開収録を含む『ラジなりフェス』は非常に楽しみにしていた。


                    よし。

                    せっかくだからこれを持って行こう。








                    そう、A太郎うちわである。


                    昨年末の落語会『大成金』の物販で購入した世に二つという名器。

                    当初は数千円の値がつけられていたものの、帰り際にふと見ると

                    なんと10円まで値が暴落していたため、ノータイムでゲットした。


                    しかし、ふと冷静になってみると、これ……







                    男が持ってたら気持ち悪くね???







                    落語家、昔昔亭A太郎を知っているならまだいい。

                    すぐにギャグだとわかるから。

                    しかし、全く知らない人がみたらどう思うだろう。

                    ドン引きもいいところだ。

                    蔑んだ目でみられること必死。


                    これは女子が持っているべきシロモノだ。

                    購入してから半年以上経過してからそう気付いた僕は、

                    このラジなりフェスでA太郎ファンの女子に差し上げようと思いついた。


                    フェス当日。

                    カバンにA太郎うちわを忍ばせておいた僕はぎゅうぎゅうの会場へ入り、席に着いた。

                    通路側に座ったのでお隣は右側だけ。

                    お隣は、女性の、おそらくお一人様のようだった。


                    「誰のファンですか?」


                    と話しかけて、A太郎ファンでなければ前後の方に話しかけて。

                    頭では考えるものの、いざ声をかけようとすると躊躇してしまう。


                    何せこの僕は筋金入りの引っ込み事案。

                    臆病者で小心者。

                    ミスター社交性ゼロ。


                    ああ、どうしよう。

                    スマホの時計を見ると19:29だった。

                    開演時間は19:30。

                    いざスタートしてしまうともう声をかけるきっかけはないだろう。


                    (べつに声かけなくてもいいか)

                    (気まずくなったらヤダしな)

                    (いいや、うちわ、持って帰るか……)



                    おそらく今までの僕なら声はかけなかった。

                    しかし、そんな僕の背中を押してくれたある出来事が、つい一週間前にあった。




                    その出来事とは……











                    つづく


                    0

                      衝撃の回答、小学生女子の好きな落語家とは

                      9月24日に行われた芸協らくごまつり。

                      「また落語の祭りかよ」

                      というごもっともな意見もあると思う。


                      黒門亭クイズ王でギャーギャー騒いでいたのは

                      落語協会のお祭り『謝楽祭』で、

                      今回は落語芸術協会のお祭り『芸協らくごまつり』だ。


                      落語芸術協会所属の落語家は、主なところだと


                      桂歌丸

                      三遊亭小遊三

                      滝川鯉昇

                      春風亭昇太



                      などである。


                      落語、演芸好きとしては参加しないわけがなく、

                      当然、僕も参加した。


                      芸協らくごまつりには回答するだけで

                      福引ができるアンケートがあるのだが、

                      ふと、小学校高学年ぐらいの女の子がお母さんとアンケートを

                      書いているところを見かけた。


                      小学生のうちから落語好きとは、中々シブい。

                      いいね!

                      と、心の中のいいね!ボタンを押す。


                      失礼とは思いつつ、つい気になってしまい、

                      女の子が書いているアンケートを覗き込んでしまった。


                      アンケートのうち特に気になる設問、


                      『応援している一番好きな芸人を一人教えてください』



                      この回答を見たとき、僕は悶絶してしまった。


                      その、

                      女の子の回答が……





                      これだっ































                      〔 春風亭 昇・・・ だーれだ(ハート) 〕


























                      何それカワイすぎんだろ!!!!








                      落語家の弟子は基本的に師匠の名前から一文字もらってつけられる。

                      よって、春風亭昇太の弟子には、『春風亭昇○』という落語家が大勢いるのだ。

                      春風亭昇々
                      春風亭昇也
                      春風亭昇吾
                      春風亭昇羊

                      などなど。


                      つまり、女の子が好きなのは

                      春風亭昇太一門のうちの誰かには間違いないが、

                      そこは明かさず焦らすという。


                      僕がもし春風亭昇太の弟子だったとして。

                      こんな可愛らしいアンケートを見たら

                      俺だ俺のことだと弟子同士で言い合いになり、

                      最終的には取っ組み合いの喧嘩になること必死。


                      しかし、かわいらしいと感じた一方、

                      すでに女としての魔性の才能が開花しようしているのかと

                      思うと恐ろしい。


                      この子も、大人になったら

                      吉原の花魁のように手練手管で男を手玉に取るのだろうか。


                      思春期を迎えてもぜひ落語を聞き続けて、

                      可愛らしいまま真っ直ぐ成長していってほしいなと、

                      他人のおせっかいながら思った次第でありました。








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